新教科書に移行して、問題を解くことだけでなくグラフ、公式、用語など数学の知識を理解することが
求められるようになった。2022年度入試でもこれに準じた出題傾向が多く見られた。
特に一次関数が多かったが、上記問題ではy=の形で表されておらず難易度が高めである。
ましてや係数に数字ではなく、抽象度の高い文字が使用され多くの受験生が苦戦したことであろう。
「ある直線と平行な直線」や「x=0のときのyの値は決まっている」など解きはじめの行動を思考することが
要求されるものもある。
ただ数値の代入を覚えるだけではなく、その数式が何を表しているのか本質を理解することが
求められたのである。


長野県は関数の内容から記述問題を出題していたが、今年のテーマは
「関数とは」であった。与えられたグラフは一次関数でも二次関数でもなく
「天井関数」という、目にすることが多くないものであった。
更には二次関数の特性を出題、選択肢は「すべて選ぶ」であった。
すべての選択肢で検証しなければならず用語がふんだんに盛り込まれているため
習熟度を確かめられる問題であった。

教科書改訂後初の入試で、数学では「四分位範囲と箱ひげ図」が出題された。
コロナ禍で中2の授業に遅れが生じ、今年の受験生は手薄になっていた
「四分位範囲と箱ひげ図」。
出題は無いとの見方はあったものの、いざ蓋を開けてみると22道県で出題。
「[データの活用]を重視していく」という新学習指導方針に則った結果となった。
実際に中学校でありそうなやり取りを題材として扱っている点から新教科書を
意識していることが容易に見える。
前回教科書改訂時、初出題となった「資料の散らばりと代表値」は初年度では
簡単な知識を問う小問が多かったが、「四分位範囲と箱ひげ図」では初年度から
記述問題を出題する県も見られた。それをふまえてか、まなびスクール周辺の中学校である
野洲中学校、守山北中学校、中主中学校、野洲北中学校、明富中学校の今回の定期テストでもこれらの出題が見られた。
学習塾まなびスクールでは集団指導、個別指導、少人数指導、いずれもこの単元を意識しての指導を行っていたため、定期テストでは良い結果に結びついた生徒が多かった。

今年、確率は44道府県で出題されたように公立入試では定番の単元である。
サイコロやトランプなどを使う典型題が小問集合で出題されることがほとんどだが、
上記のように青森県や兵庫県では他の大問と織り交ぜての出題もあった。
この場合設定に凝ったものや問題文が長文化することが大きな特徴である。
数学の入試も年々、ページ数や文章が増え、読解力や条件整理力が求められるように
なってきている。